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「ケアマネの副業」の記事一覧
2027年度の制度改正に向けて、私たちの働き方を大きく変える「新たな相談支援の類型(新類型)」の創設が議論されています。この新制度は、いわゆる「囲い込み」対策の切り札として注目されています。
「また新しいことが増えて面倒くさいな……」と感じるかもしれませんが、実はこの変化、私たちがプロとして誇りを持って働くための「守り神」になる可能性を秘めているんです。この記事では、新類型におけるケアマネの役割や、経営・給与への影響を、現場の目線で優しく、詳細に解説します。

この記事を読み終える頃には、制度の全体像をご理解いただき、これからのキャリアに対する前向きな納得感を持っていただけるはずです。
(※一般的な情報+筆者の個人的な経験・感想を含みます/医学的助言ではありません)

有料老人ホームに潜む「見えない問題」
有料老人ホームには、大きく分けて「介護付き(特定施設)」と「住宅型」の2種類があります。

- 介護付き有料老人ホーム(特定施設): 施設のスタッフが直接介護を提供します。費用は「食べ放題プラン」のように、どれだけサービスを使っても介護保険からの支払いは定額(包括報酬)です。
- 住宅型有料老人ホーム: 建物はあくまで「家」という扱いで、介護が必要になったら外部の訪問介護などの事業所と契約してサービスを受けます。費用は「使った分だけ払う」出来高払いです。
問題が多く指摘されているのは、この「住宅型」の一部です。ホームの運営会社が、自分たちのグループの介護事業所やケアマネ事業所を入居者に無理やり使わせる「囲い込み」が行われていたのです。

さらに深刻なのが「使い切り型ケアプラン」です。これは、お年寄りの本当のニーズに関わらず、介護保険で使えるお金の上限(区分支給限度基準額)まで、無理やりサービスをぎっしり詰め込む不適切なプランのことです。これにより、お年寄りの生活の質が下がるだけでなく、本来は自立を助けるべきケアマネジャーが「会社の利益を上げるための道具」のように扱われてしまうという、職業倫理を揺るがす事態が起きていたのです。
囲い込み対策の新類型とは?
結論からお伝えします。新類型とは、中重度の要介護者が集まる住宅型有料老人ホーム等において、ケアマネが施設運営から独立し、中立公正な支援を行うための新しい仕組みです。

これまで、一部の住宅型ホームでは、併設する介護事業所の利益を優先するために、ケアマネに「支給限度額いっぱいまでサービスを詰め込むプラン」を作らせる、いわゆる「囲い込み・使い切り」が問題視されてきました。ケアマネが施設側の顔色を伺わなければならない、非常に心苦しい状況があったのも事実です。
新類型は、この歪んだ構造を正し、ケアマネジャーを「入居者の生活を守る独立したプロ」へと解放するために作られます。

具体的には、以下の3点が大きな柱となります。
- 役割の統合:ケアプラン作成と生活相談を一体的に提供する。
- 独立性の確保:施設側によるケアマネ変更の強要や誘導を禁止する。
- 報酬体系の変更:出来高払いから「定額報酬」へ移行する検討が進められています。

ケアマネの役割はどう変わる?
新類型における私たちの役割は、単なる「書類作成者」から、より広範な「生活のコーディネーター」へと進化します。
生活相談とプラン作成の一体化

これまでの居宅介護支援は介護サービスの手配が中心でしたが、新類型では「生活相談」のニーズにも一体的に対応することが求められます。
これは一見すると業務が増えて大変そうですが、私は「情報の深みが増す」というメリットを感じています。入居者様の暮らし全般に関わる情報をケアマネが握ることで、施設運営側に対して「このサービスは本人には過剰です」「もっとこういう自立支援が必要です」とはっきり意見を言える、対等な立場を築けるようになるからです。
独立した専門職としての立ち位置
新類型では、ケアマネジャーの独立性を守るために、いくつかの「鉄のルール」が導入される見込みです。

- 強制変更の禁止:施設への入居を条件に、特定のケアマネ事業所との契約を強いることは明確に禁止されます。
- 契約の分離:ホームの「入居契約」と、ケアマネとの「介護支援契約」を別個独立したものとして確保し、手順書等でプロセスを透明化します。
「施設に言われたから」という言い訳ができなくなる厳しさはありますが、それこそが私たちの本来あるべき姿ではないでしょうか。
「使い切りケアプラン」を防止する具体策
なぜ新類型では「限度額いっぱいにサービスを詰め込む」といった不適切なプランが防止できるのでしょうか。そこには、非常に合理的かつ強力な仕掛けがあります。

1. 「定額報酬制(包括報酬)」の導入

これが有力な防止策の一つと考えられています。現行の住宅型ホーム向けサービスは、使った分だけ事業所が儲かる「出来高払い」であるため、過剰サービスの動機が生まれていました。
しかし、新類型の報酬は「定額」になる検討が進められています。どれだけサービスを詰め込んでもケアマネ側の収益は変わらないため、「利益のために不要なサービスを増やす」という不適切なインセンティブが根本から断たれます。
2. 原則1割の利用者負担の導入

もう一つの重要な変更点が、利用者様への原則1割負担の導入検討です。 これまで無料(10割給付)だったケアマネジメント料に自己負担が生じることで、利用者のコスト意識が高まり、より主体的な選択に繋がることが期待されています。利用者によっては、「お金を払うのだから、質の高い支援をしてほしい」という厳しい視線にさらされることになりますが、これは専門職としての価値を試されるチャンスでもあります。

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| 項目 | 現行の居宅介護支援 | 新たな相談支援の類型(案) |
| 報酬体系 | 出来高報酬(算定件数等) | 定額報酬(包括的な評価) |
| 利用者負担 | 自己負担なし(10割給付) | 原則1割負担(定率負担) |
| 業務内容 | ケアプラン作成、連絡調整 | ケアプラン作成 + 生活相談 |
| 独立性 | 施設との結びつきが強い場合がある | 法令や指針により独立性を担保 |
(出典:厚生労働省検討会資料等に基づき作成)
定額報酬による経営と給与への影響
新類型の導入により、報酬体系が出来高制から定額制へと変更される見込みです。これにより、現行制度下で適法に運営されてきた事業所においても、収益構造の見直しが必要になる可能性があります。
収益が大幅に減少する可能性が予測されている

多くの専門家が「新類型の基本報酬は、現行の居宅介護支援(要介護1・2)の水準よりも低く設定される」と予測しています。 その最大の理由は、国の調査(タイムスタディ)の結果にあります。住宅型ホームの入居者様に対するケアマネジメント時間は月平均82.7分であり、これは在宅の要支援1(89.2分)をも下回っているのです。
移動時間が少なく、効率的に業務ができる実態を考慮すれば、報酬が低く抑えられるのは制度の論理として避けられません。あくまで特定の市場調査に基づく傾向ではありますが、一部施設依存のモデルで稼いでいた事業所は報酬水準によっては収益が圧迫される可能性が指摘されています。
ケアマネの給与はどう変わる?

事業所の収益が減れば、私たちの給与にも影響が及びます。住宅型ホーム入居者を多く担当することで、効率的に収益を上げてきた事業所「囲い込み利益」では、報酬体系の見直しが必要になる可能性があります。(実際の影響は各事業所の経営方針や人事制度によって異なります。)
しかし、私はこう感じています。これからは「件数をこなして効率よく稼ぐ」能力よりも、「どれだけ自立支援に貢献し、利用者様の満足度を高められたか」という質の評価が、巡り巡って給与や待遇に反映される時代になります。
新類型におけるケアマネジャーの配置基準
新類型を運営するにあたって、どのような人員配置が求められるのでしょうか。
ケアマネと生活相談員の「セット配置」

現在の構想では、ケアマネジャー(介護支援専門員)単体ではなく、「ケアマネジャー + 生活相談員」を組み合わせて配置する 案が示されています。
これを聞いて「えっ、さらに人が必要なの?」と不安になった管理者の方もいるかもしれません。ですが、これは私たちの負担を減らすための工夫でもあります。
現場では、介護保険外の雑務、いわゆる「シャドウワーク」に追われて本来の業務ができないことがよくありますよね。生活相談員と役割を分担することで、ケアマネはより専門的なケアマネジメントに注力できる環境が整うのです。チームで支えることで、施設側からの無理な要求にも組織として立ち向かえるようになります。
登録制の導入で自治体の指導監督はどう変わる?
住宅型ホームが「登録制」になることで、自治体(都道府県や市町村)のチェック機能が劇的に強化されます。

- 参入前の厳しい審査:人員配置や設備、虐待防止措置などが法令基準を満たしているか、事前に厳しくチェックされます。
- 定期的な更新制:一度作ったら終わりではなく、数年ごとに「ちゃんとやっているか」の再審査があります。不適切なホームは更新を拒否され、撤退を余儀なくされます。
- 会計の分離と公表:同一グループでの運営の場合、会計を完全に分けて公表させ、不透明なお金の流れを許しません。
「お役所仕事が厳しくなる」というネガティブな捉え方もありますが、多くの人がこう工夫しているようです。つまり、「誠実にやっている事業所こそが守られ、悪い事業者が排除される」という健全な競争環境が整うのだと。
この新制度はいつから本格的に始まる?
この歴史的な大改革は、2027年度(令和9年度)の介護保険制度改正・介護報酬改定での導入を目指して、現在急ピッチで詳細の検討が進められています。

3年ごとに見直される「第10期介護保険事業計画」のスタートと同時に、全国で新しいルールが適用される予定です。ただし、既存のホームがいきなり全てを変えるのは難しいため、一定の「経過措置(準備期間)」も設けられる見通しです。
ケアマネのスキルを最大限に活かせる理由
「新類型になると、私の経験は無駄になるの?」 そんなことはありません。むしろ、これまでの苦労で培った「調整力」や「洞察力」こそが、新時代の武器になります。

- アセスメントのプロフェッショナルとして 新類型では生活相談も担うため、これまで以上に多角的な視点でのアセスメントが必要になります。あなたの「ちょっとした変化に気づく目」が、利用者様の暮らしを劇的に改善する力になります。
- 中立公正な調整役として 施設と外部事業所の間に立ち、利用者様にとって最善の選択を導き出す能力。これはAIには真似できない、人間にしかできない高度なスキルです。
- ICTを使いこなす「スマートケアマネ」へ 新類型の創設と並行して、ICTの活用(ケアプランデータ連携システム等)が強力に推進されます。面倒な転記作業を機械に任せ、空いた時間で利用者様とじっくり向き合う。そんな働き方が現実になります。

もし、今の環境で「囲い込み」に悩み、職場環境に課題がある場合は、これを機に在宅支援を王道とする事業所への転職を考えるのも一つの選択肢です。効率の良い方法として、2027年以降に需要が高まる「真の自立支援ができるケアマネ」としてのキャリアアップの可能性を、今のうちから示唆しておきます。
今の職場が合わないと感じる場合には、評価の軸が自分と合う職場を探すことも選択肢の一つです。 転職サイトなどを通じて、自分の市場価値を確認してみるのも、一つの選択肢かもしれません。
まとめ:あなたは「暮らしの主人公」を守る大切な存在です

長文をお読みいただき、本当にありがとうございました。新類型という言葉を聞いて、「またしんどくなる……」と臆病になっていた心が、少しでも軽くなっていただけたなら幸いです。
今回の改革の核心は、「ケアマネジャーを、利用者様の尊厳を守る最後の砦にする」という国からの期待そのものです。

施設側の利益のために無理なプランを立てる必要はなくなります。利用者様から対価(1割負担)をいただくことで、プロとしての仕事に責任と誇りを持てるようになります登録制や指導監督の強化により、自治体によるチェックや支援の枠組みが整備されることが期待されています。
変化は確かに怖いものです。でも、その先には、私たちがケアマネを目指した時の「誰かの力になりたい」という専門職としての役割を形にできる未来が待っています。
私は、現場で悩みを抱えながらも、誠実に利用者様を支え続けるあなたが、本記事が皆様の情報収集の一助となれば幸いです。一緒に、この新しい時代を歩んでいきましょうね。
本記事の主要出典元: 厚生労働省:住宅型ホームにおける出来高報酬と囲い込みの問題点 厚生労働省:新たな相談支援類型の創設と定額報酬・1割負担の提案 厚生労働省:有料老人ホーム「登録制」の導入と指導監督の強化 厚生労働省:ケアマネジメントの利用者負担に関する議論
※最新の審議状況により、制度の詳細は変更される可能性があります。常に最新の情報を厚生労働省の公式ホームページなどでご確認いただくことをお勧めします。







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