【2026年診療報酬改定】敷地内薬局の除外規定(ただし書き)廃止とは? ケアマネが解説する利用者さん・医療モールへの影響と備え方

職場環境改善

(「本記事は、執筆時点で公開されている資料・報道に基づく一般的な情報提供であり、将来の制度内容や個別の経営判断を保証するものではありません。」)

「え、あの薬局、なくなるの?」   担当の利用者さんや、ご家族からこんな声をいただく事があるかもしれません。 病院の建物の中にある薬局――いわゆる「敷地内薬局」が、 2026年度の診療報酬改定によって、規定変更等の検討が進められています。   ケアマネとして感じたことは。 「ただし書き(除外規定)」の廃止議論は、 薬局の経営問題にとどまらず、高齢の利用者さんの日常に影響を及ぼす可能性があります。

そもそも敷地内薬局って何?

「敷地内薬局」という言葉、聞いたことはあっても、正確にはどんな薬局かを整理しましょう。

病院の敷地の中にある薬局のこと

敷地内薬局とは、その名の通り、病院や診療所の敷地の中(または同一建物内)に設置された保険薬局のことです。

2016年に政府が立地を認めて以来、高齢患者さんの移動負担の軽減などを理由に急速に増加。日本薬剤師会によると、2025年5月時点で全国に613店舗が存在しています。

利用者さんにとってのメリット・デメリット

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項目メリットデメリット (可能性
立地ほぼ移動ゼロで薬を受け取れるその病院の薬局しか使えない印象になりやすい
服薬管理その場でもらえるので飲み忘れが減る「かかりつけ薬局」として機能しにくい
専門性病院近くで専門薬が揃いやすい薬局間での情報連携が取りにくい
緊急時スムーズに対応してもらえる薬局が撤退した場合、代替が見つかりにくい

(出典:日本薬剤師会・中医協資料等を参考に筆者作成)

「ただし書き」って、そもそも何?

ここが今回の診療報酬改定議論、敷地内薬局の核心です。少し制度的な話になりますが、できる限り平易にお伝えします。

診療報酬の仕組みをざっと理解する

薬局の収入の柱は「調剤基本料」という診療報酬です。通常の薬局では患者1人あたり最高45点(450円)が算定できます。

一方、敷地内薬局は「利益率が高い」「特定の医療機関に依存しすぎている」として、2019年度以降、段階的に引き下げが続いてきました。

年度 診療報酬改定敷地内薬局の基本料通常薬局との差
2019年度11点(110円)約4分の1
2022年度7点(70円)約6分の1
2024年度改定5点(50円)「特別調剤基本料A」約9分の1

(出典:厚生労働省・中医協資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001585317.pdf)

「ただし書き」=除外規定とは

ポイント:「ただし書き」の意味
本来なら「特別調剤基本料A(5点)」が適用されるべき敷地内薬局でも、 「同じ建物の中に複数の診療所がある場合(医療モールなど)」は、 その厳しい評価から除外されてきました。   これが「ただし書き(除外規定)」です。   つまり、医療モール内の薬局は、 これまで通常に近い調剤基本料(45点)を算定できていたのです。

問題になった「ルールのすり抜け」

ところが近年、この「ただし書き」が悪用されるケースが問題視されるようになりました。

病院の敷地内に薬局を作った後、意図的に診療所を同じ建物内に誘致し、「医療モールと同じ状況」を作り出して除外規定の適用を受ける薬局が現れた。とのことで。

中医協(2025年10月24日)では、総会内から、「ルールのすり抜け」「解釈の逸脱」として厳しく批判されています。

(参考:m3.com https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1302836)

2026年度診療報酬改定で何が変わりそう?

では、今まさに進んでいる2026年度診療報酬改定の議論では、具体的に何が話し合われているのでしょうか。

「ただし書き」の削除が検討されている

2025年10月24日に開催された中医協総会で、厚生労働省はこの除外規定を「削除を含めた見直し」の対象として論点に挙げました。

厚労省の論点(2025年10月)
【論点(厚労省)】 「ただし書き」による除外規定が、医療機関と薬局の経済的な独立性の確保という 原則に反する「ルールのすり抜け」につながっているとして、 削除を含めた見直しを検討。   (出典:厚労省中医協資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001585317.pdf)

最悪のシナリオの懸念と現実的な落としどころ

もし「ただし書き」が完全に削除されると、医療モール内の薬局の多くが「特別調剤基本料A(5点)」の対象となる可能性があります。

ただし、専門家の間では「単純削除には至らない可能性が高い」という見方もあります。

シナリオ内容可能性
最も厳しい「ただし書き」全面削除・医療モールも一律適用低〜中(激変緩和措置あり)
現実的な落としどころ病院敷地内と医療モールで基準を分け、新点数区分を設置中〜高
経過措置あり既存薬局には一定期間の猶予を与える高い可能性

(参考:株式会社医療経営研究所 https://chouzai-sys.nextit.co.jp/knowledge/2717/)

新設「オンライン診療受診施設」と薬局の関係

2026年4月からは、改正医療法により「オンライン診療受診施設」が新設されると報じられています。公民館なども対象になる予定で、ケアマネとして注目しています。「現時点の議論案(2026年1月時点)に基づくものであり、施行までに細部が変更される可能性もあります」

薬局との一体経営は原則禁止の予定

2026年1月14日の中医協総会で、この施設と保険薬局の一体的な構造・経営の禁止、経済上の利益提供による誘引の禁止が療担規則に明記されることがおおむね了承されました。「現時点の議論案(2026年1月時点)に基づくものであり、施行までに細部が変更される可能性もあります」

(参考:m3.com 2026年1月14日記事)https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1315817

敷地内薬局の問題と同様、「ルールのすり抜け」が起きないよう、中医協の診療側・支払側双方から厳格な運用を求める声が上がっています。

へき地・医療資源の少ない地域は例外

へき地の例外規定
無医地区(医療機関が存在せず、半径4kmに50人以上居住する地域)や 「準無医地区」などは例外的な取り扱いが認められる見通しです。   地方厚生局への事前届出が要件となる予定で、 厳密な確認を前提に了承されています。   (出典:2026年1月14日中医協総会資料 https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1315817)

ケアマネが注意すべき影響とは

私自身、ケアマネとしてこの問題を身近に感じています。制度の変化がどのような形で現場に波及するか、具体的に整理してみました。

担当利用者さんの薬局が突然撤退するリスク

今後、診療報酬改定の内容次第では、経営が成り立たなくなった敷地内薬局が撤退するケースが増える可能性があるという見方も示されています。

実際、一部報道では、複数の薬局チェーン幹部が「利益を出すのが難しい」として、既存店の撤退も視野に入れていることが報じられています。https://news.yahoo.co.jp/articles/631f5224f1890b27e01dec2f817b95fd14d6feb9

(出典: Yahoo!ニュース 2025年3月27日記事)

【ケアマネが確認すべきこと】
● 担当利用者さんがどの薬局を利用しているか
● その薬局が「敷地内薬局」に該当するか
● 近隣に代替薬局があるか(特に移動困難な方は要確認)
● 電子処方箋の活用で薬局の選択肢を広げられるか

「かかりつけ薬局」への誘導が重要になる

厚労省は、複数の医療機関で処方される薬をまとめて管理し、飲み合わせチェックや健康作りの助言をする「かかりつけ薬局」の仕組みを推進しています。

一部報道では「自宅近くにかかりつけの薬局を作り、利用する方が患者にはメリットが大きい」という意見もあります。

ケアマネとして私が感じるのは、この動きはケアプランの質にも直結するということです。

利用者さんが複数の病院を受診しているケースでは、同じ薬局で一括管理することで、飲み合わせのリスク確認や残薬整理がしやすくなります。

連携強化のスキルが問われる時代に

敷地内薬局の問題は、薬剤師と地域医療・介護職の連携を問い直すきっかけでもあります。

制度的に「特定の医療機関への依存」が問題とされる中、薬局には地域包括ケアの担い手としての役割が一層求められています。

ケアマネとしても、薬局・薬剤師との連携を深めることが、これからの支援の質を左右すると私は感じています。

利用者さんが「備えること」

では、担当する利用者さんには、どのようなことを伝え、備えてもらうとよいでしょうか。

今すぐ確認したい3つのこと

1.現在使っている薬局の場所と連絡先を再確認する

薬局が変わっても、お薬手帳があれば情報を引き継げます。お薬手帳を必ず持参する習慣を確認しましょう。

2.「かかりつけ薬局」を1か所決めておく

複数の病院に通っている方は特に重要です。1つの薬局でまとめて管理してもらうことで、飲飲み合わせの確認がしやすくなります(効果は医師・薬剤師にご確認ください)。

3.電子処方箋・かかりつけ薬剤師制度を活用する

「かかりつけ薬剤師」に登録すると、薬の一元管理が可能になります。担当ケアマネからもぜひ紹介してあげてください。

移動困難な方への配慮

車いすや歩行困難な利用者さんが「敷地内薬局だから通えた」というケースは少なくありません。

薬局が撤退した場合、在宅での服薬管理支援(訪問薬剤師の活用など)についても、早めに選択肢として把握しておくことをお勧めします。

※あくまで一般的な情報であり、個別の医療判断については必ず主治医や薬剤師にご確認ください。

まとめ:

2026年度の診療報酬改定は、まだ最終決定には至っていません。しかし、「ただし書き」をめぐる議論は継続的に行われています。

【この記事のまとめ】  
● 敷地内薬局は現在613店舗あり、診療報酬改定で経営が厳しくなっている
● 「ただし書き(除外規定)」は「ルールのすり抜け」として見直し議論が進行中
● 完全廃止よりも、経過措置や新区分創設の可能性が高いとみる専門家も
● オンライン診療受診施設と薬局の一体経営も2026年4月から原則禁止の見込み
● ケアマネは「かかりつけ薬局」への誘導と、撤退リスクへの備えが検討しておく価値があります。
● 利用者さんへはお薬手帳の活用・かかりつけ薬局の確保を早めに伝える

この制度の変化は、「薬をもらう場所」の問題ではなく、高齢の利用者さんの生活の質(QOL)に関わる問題です。

現場の最前線にいるケアマネとして、私はこれからも最新情報をお伝えし続けたいと思っています。少しでも「なるほど」と感じていただけたなら、とても嬉しいです。

参考・引用資料

・厚生労働省 中医協総会資料(個別事項:敷地内薬局)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001585317.pdf

・m3.com 橋本佳子編集長レポート(2025年10月24日)
https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1302836

・株式会社ネグジット総研記事
https://chouzai-sys.nextit.co.jp/knowledge/2717

(一般的な情報+筆者の個人的な経験・感想を含みます/医学的助言ではありません。制度改定や薬局経営に関する最終的な判断は、必ず所轄官庁の最新資料や専門家(医師、薬剤師、弁護士、コンサルタント等)にご確認ください。)

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