

「ケアマネの副業」の記事一覧
「本記事の内容は法的助言・労務管理上の助言を目的とするものではありません。個別の契約・法律問題については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください※一般的な情報+筆者の個人的な経験・感想を含みます/医学的助言ではありません」
医師会が提言する上限規制の裏側と対策

| 「また紹介会社に高い手数料を払った。でも、半年もしないうちに辞めてしまった……」 こんな経験、あなたの職場でも繰り返していませんか? 2026年3月18日、日本医師会と四病院団体協議会が報告書を公表しました。https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf 医師・看護師・介護職の採用に関わる紹介手数料が、年間1,000億円を超えたのです。 ケアマネジャーである私も、この問題を他人事とは感じられませんでした。 なぜなら、連携先の施設がスタッフ不足で困っていれば、 私が担当する利用者さんのサービス調整にも直接影響するからです。 この記事では、その報告書の内容をケアマネの視点からわかりやすく解説します。 難しい話をシンプルに、そして「あなたの現場に何ができるか」を一緒に考えましょう。 |

なぜ今、紹介手数料が問題なのか
まずは、問題の全体像を整理します。
「採用コストが高い」という感覚は多くの現場にあります。ただ、その規模感を数字で見ると、改めて驚かされます。

| 職種 | 平均手数料率 | 1人あたりの目安額 |
| 医師(一種) | 約22.7% | 約336万円 |
| 看護師 | 約20.1% | 約160万円 |
| 介護職 | 分野平均並み | 数十〜百万円規模 |
出典:東京都病院協会報告書・厚生労働省公表資料(2023年度)https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
これらの費用は、保険料や税金を原資とする「公定価格」で運営される医療・介護機関が支払っています。

つまり、制度上は採用コストを価格に上乗せすることができません。
結果として、紹介手数料として一定割合が民間事業者に支払われる構造となっており、給与改善とのバランスについて議論が生じています。
| ケアマネの視点から:施設のスタッフが定着しないと、利用者さんの顔と名前をまだ覚えていない方が介護を担うことになります。ケアマネとして施設との連携を深めたくても、担当者が毎回変わっていたら……その影響は、ジワジワと利用者さんのケアの質に出てきます。 |
報告書が明らかにした「負の連鎖」とは
高い手数料を払っても、問題はそれだけでは終わりません。
日本医師会の報告書は、「採用コストの問題」と「早期離職の問題」がセットで起きていると指摘しています。Microsoft Word – 日医・四病協 有料職業紹介に関する報告書 最終https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
早期離職が生む「二重苦」

医療・介護・保育分野の求職者は、他分野と比べて有料職業紹介サービスへの満足度が低く、
過去3年間にトラブルや困りごとを経験した割合も高いことが明らかになっています。(厚労省委託アンケート調査)
たとえば、こんな一部のケースが報告されています:
- 紹介されてきた人のスキルや資格が、事前説明と違っていた
- 健康状態に関する情報を伏せたまま紹介されていた
- 「返戻期間(返金期間)」が終わった直後に辞めてしまった
高いお金を払って採用した人が早期離職してしまえば、また紹介会社に依頼するしかありません。
そしてまた高い手数料が発生する——
一部の契約条件や運用によっては、結果的に『負の連鎖』が生じてしまうケースも報告されています。

日本医師会の3つの主な提言

報告書は2026年3月18日に公表され、近く厚生労働大臣へ要望書として提出される予定です。要望段階であり確定ではありません。
(出典:日本医師会公式サイト https://www.med.or.jp/)https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
提言の柱は、主に以下の3つです。

提言①:紹介手数料の上限規制を導入する

現状では、紹介手数料の上限に法的な規定がありません。
報告書は、このままでは手数料がさらに上昇し、
地域医療・介護体制全体の持続性を脅かすと強く警鐘を鳴らしています。

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| 上限設定のケース | メリット | デメリット・リスク |
| 上限を高く設定した場合 | 紹介会社が積極的に人材を紹介しやすい | 高い水準に固定化するリスク |
| 上限を低く設定した場合 | 医療機関の負担が減る | 紹介が受けられず人材確保が困難になる可能性 |
※報告書では、上限設定のバランスが非常に重要と強調されています。https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
(現在の医療・介護分野における有料職業紹介では、手数料率に一律の法的上限が設定されておらず、各事業者の届出に基づいています。)
提言②:返戻金制度の義務化と標準化

「返戻金(へんれいきん)」とは、採用した人が早期に退職した場合に、紹介会社から手数料の一部を返してもらう制度のことです。
現在、適正認定事業者では6ヶ月以内の返金制度がありますが、報告書では多くの事業者は「1ヶ月で50%、2ヶ月で30%」といった水準で、採用・教育コストを考えると十分ではないと指摘されています。
| わかりやすくいうと :たとえば看護師1人に160万円払って採用したのに、2ヶ月で辞めてしまったとします。返金されるのは30%の48万円。でも、引き継ぎや再採用の手間を含めると、実質的な損失はもっと大きい……というのが現場の実感ではないでしょうか。 |
提言では、返戻金制度の義務化に加え、「少なくとも初期数ヶ月は高い返戻率を確保すること」を求めています。

提言③:ハローワーク等の公的機関の積極活用

「『ハローワークは採用につながりにくい』と感じている職場もあるかもしれません。」
実は、ハローワークは現在、日本医師会等の提言を受け、機能強化の方針が示されています。
- 主要ハローワークへの「人材コーナー」設置
- 2026年度から全ハローワークでの病院・施設への「アウトリーチ(直接訪問)」開始
- インターネットサービスのスマホ対応・検索機能強化

これらの取り組みは、まだ多くの医療機関や求職者に知られていないのが現状です。日本医師会も「固定観念を改め、周知に取り組む」と明言しています。
ケアマネだからできる視点と対応策
ここからは、私個人の経験と見解を交えながら、ケアマネの立場でできることをお伝えします。
あくまで一つの選択肢・可能性の提示として、参考にしてください。
連携先の「採用環境」を把握する

施設のスタッフが安定しているかどうかは、利用者さんのケアの質に直結します。担当者が頻繁に変わる施設は、ケアマネにとっても「情報の継続性」が失われるリスクがあります。
私自身、施設の担当者と関係を築く中で、「最近スタッフが定着しなくて……」という話をよく聞くようになりました。そういう施設は、人材紹介コストに苦しんでいる可能性があります。ケアマネが「施設の採用状況」をさりげなく気にかけることは、利用者さんを守るための、地味だけど大切な視点だと、私は感じています。
「ハローワーク活用」を一緒に考える

もし連携先の施設担当者から採用の悩みを相談された場合、「2026年度からハローワークのアウトリーチが始まるらしいですよ」と情報提供できるのは、ケアマネのアンテナの高さが活きる瞬間です。
| 地域の情報ハブとしてのケアマネ: ケアマネは、医療・介護・行政・地域をつなぐ「情報の結節点」です。今回のような政策動向を自然に周囲にシェアできるのは、ケアマネならではの強みかもしれません。多くの人がこう工夫しているようです。 |
今すぐできる採用コスト対策

「でも、具体的に何から始めればいいの?」という方へ。
難しいことは後でいい。まず、小さな一歩から始めましょう。
チェックリスト:現在の紹介会社との契約を見直す
- 手数料率を確認する(看護師なら20%前後が多い傾向)
- 返戻金の条件を確認する(何ヶ月以内、何%か)
- 6ヶ月以上の返戻保証があるか確認する
- 過去のトラブル事例を記録・保管しているか
(あくまで特定の市場調査に基づく傾向であり、個別の契約内容は必ず専門家に確認ください)
ハローワーク・ナースセンターを検討・試してみる

まず一度、担当のハローワークへ問い合わせてみることをお勧めします。
「医療・介護分野の人材確保について相談したい」と伝えるだけで大丈夫です。
ナースセンターは看護職に特化した無料の職業紹介機関です。都道府県に設置されており、活用しているか否かで採用コストに差が出る可能性があります。
(参考:厚生労働省「医療・介護分野の人材確保」 https://www.mhlw.go.jp/)
職場環境の「定着力」を上げる

どんな優れた採用方法も、職場が「辞めたくなる環境」のままでは効果が薄れます。
私が見聞きした範囲では、こんな工夫が定着率向上に貢献しているようです:
- 入職後3ヶ月のフォロー面談を定期的に実施
- 先輩スタッフとのメンター制度の導入
- 有給消化を促進する文化づくり
今後の見通しと注目ポイント
今回の提言を踏まえ、日本医師会と四病院団体協議会は厚生労働大臣に要望書を提出する予定です。
規制の内容や施行時期はまだ確定していないため、引き続き情報収集が必要です。

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| 注目項目 | 現状 | 今後の動向 |
| 紹介手数料の上限規制 | 未導入 | 厚労省への要望後、検討・議論へ |
| 返戻金制度の義務化 | 任意(適正認定事業者のみ義務) | 義務化・水準標準化を提言 |
| ハローワークのアウトリーチ | 一部試行 | 2026年度から全国本格展開 |
| インターネットサービス改修 | 進行中 | スマホ対応・検索機能強化予定 |
出典:日本医師会・四病院団体協議会報告書(2026年3月)/ 厚生労働省資料https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
| 📰 情報源として参照できるサイト ・日本医師会 公式サイト:https://www.med.or.jp/ ・厚生労働省 職業紹介事業報告:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/shoukaishukei.html ・職業安定法(法令検索):https://elaws.e-gov.go.jp/ |
まとめ:一人ひとりの行動が地域を変える

今回の記事で伝えたかったことを、最後にシンプルにまとめます。
- 医療・介護分野の紹介手数料は年間1,000億円を超え、深刻な経営圧迫の原因になっている
- 日本医師会は「上限規制の導入」「返戻金制度の義務化」「ハローワーク活用促進」を提言した
- ハローワークは2026年度から大きく変わる。固定観念を一度捨てて試してみる価値がある
- ケアマネは連携先の採用状況を「地域ケア」の観点から気にかけられる、貴重な立場にある


「本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の医療機関や介護事業所の経営判断、または個別の法的問題に対する助言を行うものではありません。具体的な事案については、専門家にご相談ください」
【参考資料】日本医師会・四病院団体協議会「有料職業紹介事業に関するワーキンググループ報告書」(2026年3月18日公表)https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf











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