ケアマネ更新制廃止と「研修義務化」閣議決定を解説〜更新不要は本当?業務禁止ペナルティの全真相〜【2027年施行見込み】

ケアマネの今後

現時点では「閣議決定段階」であり、国会審議・成立・省令整備を経て正式確定となります。「施行までは現行制度が適用されます」

ケアマネジャーの資格の更新制が廃止される法案が閣議決定されました。現場で長年、時間的・経済的な負担を抱えながら更新研修に通ってきた皆さんにとって、これは朗報に映るかもしれません。  しかし、ちょっと待ってください。廃止される一方で、「定期的な研修の受講が法的義務になる」という、新たなルールも同時に導入の検討もされます。受講しなければ、法案上は『受講命令に従わない場合、最長1年間の業務従事禁止』という規定案が盛り込まれています。  この記事では、ケアマネジャーとして現場で働いてきた私が、改正の全体像・メリット・デメリット・ペナルティの実態を解説します。「更新制廃止」という言葉だけに飛びつかず、新制度の「光と影」をしっかり把握しておきましょう。

※一般的な情報+筆者の個人的な経験・感想を含みます。医学的・法的助言ではありません。最新情報は各都道府県または厚生労働省の発表をご確認ください。

なぜ更新制は廃止を望まれてるのか

ケアマネジャーの更新制は、5年ごとに資格を更新しなければ失効する、という厳しい仕組みでした。研修は長時間にわたることも多く、自腹での受講料負担、有給休暇の消化、家庭との調整……そうした負担が大きいとの指摘が多い「研修」を経験してきた方は少なくないはずです。

厚生労働省は、今回の改正の背景として、専門職の資質向上の重要性を認める一方で、「研修の時間的・経済的な負担が大きい」という現場の声にも真剣に向き合ったと示しています。2025年12月25日に社会保障審議会介護保険部会がまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」にも、この両面を考慮した検討経緯が記されていました。

要するに、「今のやり方では現場が疲弊する。でも、質の低下は許されない。」という、まさに現場の声を反映した改革といえます。

新旧制度の違いを比べてみる

「廃止」と「義務化」が同時に起きるこの改正。何がなくなって、何が新しくなるのか、表で整理しておきましょう。

(出典:介護保険法等の一部を改正する法律案 閣議決定 令和8年4月3日 / https://www.mhlw.go.jp/content/001685801.pdf)

クリック
比較項目現行制度(更新制)新制度(研修義務化)
有効期間5年(主任は5年)なし(廃止)
更新手続き必要(更新研修+申請)不要
研修の位置づけ更新のための手段法的義務
研修未受講の結果資格失効業務禁止(最長1年)
研修の柔軟性限定的オンライン・分割受講等を検討中
事業者の義務特になし研修機会の確保が義務

表を見ると、現時点の法案方針によれば「5年ごとの更新不要」という方針が確認できます。ただし、定期的な研修の受講は「任意」から「義務」に格上げされます。「廃止=研修から解放される」と早合点するには注意が必要です。

「業務禁止」ペナルティの正体

今回の改正案で最も注目すべきポイントの一つが、研修未受講に対するペナルティの新設です。法案には、段階的な制裁の仕組みが盛り込まれました。

段階内容対応する法的措置
第1段階正当な理由なく研修未受講の状態が続く都道府県知事が受講命令を発令
第2段階受講命令に従わない最長1年間の業務従事禁止
事業者側研修機会の確保措置を怠る都道府県知事による勧告・命令

重要:ペナルティ発動の条件 「正当な理由なく」研修を受講しない場合が対象とされています。法案では、まず都道府県知事が受講命令を出し、それでも従わない場合に初めて「業務従事禁止(最長1年)」が命じられる、という2段階の構造です。命令なしにいきなり禁止になるわけではありません。

とはいえ、「正当な理由」の具体的な範囲は、現時点では法案に明示されておらず、今後の省令や通知で詰めていくことが見込まれます。「多忙だった」「費用が払えなかった」が認められるのかどうか、今後の動向を注視する必要があります。

事業者にも課される義務

事業者の義務とは何か

改正案には、ケアマネジャー個人だけでなく、雇用する事業者側にも義務が課されることが盛り込まれています。居宅介護支援事業所や介護施設などの事業者は、現場のケアマネジャーが研修を受講できる機会を確保する措置を講じなければなりません。

具体的な措置としては、次のようなものが想定されています。

  • 未受講のケアマネジャーへの適切な指導や指示
  • 受講のための時間確保(シフト調整など)
  • 研修情報の提供や申込みへの支援

これを実施しない場合、都道府県知事は事業者に対して勧告や命令を行うことができると規定されています。つまり、事業者の皆様においても、ケアマネジャーの研修機会の確保が法的義務となる方向で検討されています

事業所にとってのリスクと機会

人手不足の中で、研修のための時間確保はたやすくありません。しかし、逆に考えれば、事業者がしっかりと研修機会を整備することで、「ケアマネが長く働き続けられる職場」としてのブランドを高める機会にもなります。

私が感じるのは、今回の改正は「ケアマネに自己責任で研修を押しつける時代」から、「事業者も一緒に研修を支える時代」への転換点だということです。この変化を前向きに捉えられる事業所が、これからの介護業界で生き残っていくのではないかと、個人的には思っています。

研修の負担は本当に減るのか

「更新制は廃止。でも義務化される。」そこで当然湧く疑問が、「結局、研修の負担は減るの?」ということです。この点について、現時点でわかっていることと、これからの検討事項を整理します。

厚労省が示す負担軽減の方向性

厚生労働省は今後、以下のような環境整備を図る考えを示しています(確定事項ではなく、今後詳細が詰められていく予定です)。

  • 研修のオンライン受講の導入
  • 受講を複数回に分ける「分割受講」の仕組みづくり
  • 研修時間数の圧縮(現行より短縮される可能性)
  • 例えば5年など一定期間内に、自分のペースで受けられる制度設計の検討

特に「分割受講」の仕組みは、仕事が忙しくまとまった休みが取れないケアマネにとって、大きな助けになる可能性があります。これらは現時点では「検討中」であり、詳細はこれから省令・通知等で定められる見込みです。

施行時期はいつ?

改正案には、施行時期について「公布後1年半以内に政令で定める日」と記載されています。2026年4月3日の閣議決定から逆算すると、2027年度(令和9年度)ごろの施行が見込まれますが、政令による正式決定を待つ必要があります。

施行スケジュールの目安(見込み)
・閣議決定:令和8年4月3日
・今国会での早期成立を目指す
・施行:公布後1年半以内に政令で定める日(令和9年度ごろが見込み)
※詳細は厚生労働省や各都道府県の発表をご確認ください。

よくある疑問に正直に答える

Q. 今すぐ更新研修を受けるべきか?

現行の更新制がまだ有効な間は、更新期限を守る必要があります。新制度が施行されるまでは、現行ルールが適用されます。「廃止になるから、もう更新しなくていい」というのは現時点では誤りです。自分の更新期限を確認し、施行時期とのタイミングを見ながら、所属自治体に確認することをお勧めします。

Q. 主任ケアマネの更新制は?

法案の内容から、主任ケアマネジャーの資格についても同様に更新制が廃止される方向とみられます。ただし、主任ケアマネの管理者要件など、関連する制度への影響については、現時点では詳細が明確になっていません。今後の通知・省令等に注目してください。

Q. 研修費用の自己負担はどうなる?

研修費用の負担割合については、改正案に明示的な規定は見当たりません。事業者に「研修機会の確保」が義務付けられていますが、研修費用や時間の取り扱いについては、雇用契約・就業規則の内容や労働基準法に基づく判断などの個別の状況については、社会保険労務士や弁護士等の専門家にご相談ください。

Q. オンライン研修についていけるか不安…

オンライン研修の導入は、あくまでも「選択肢を増やす」方向で検討されているようです。今後、ICT環境の整備やサポート体制についても、詳細が示されていく見込みです。焦らず、少しずつ準備をしていくことが大切です。

今から準備できることを整理

「制度が変わるのを待つだけ」ではなく、今から動ける準備があります。

  • 自分の現行の更新期限を確認し、過渡期の対応を所属自治体に問い合わせる
  • 事業所の管理者・経営者と、研修時間の確保について早めに相談しておく
  • オンライン研修に備え、タブレットやPCの環境を少しずつ整える
  • LIFEやAI活用など、今後の研修内容に組み込まれる可能性のあるテーマに触れておく
  • 厚生労働省のウェブサイトや都道府県の介護人材研修情報を定期的にチェックする
📚 参考リンク ・厚生労働省 介護保険部会 資料:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html

まとめ

今回の改正を一言でまとめると、「更新という形式的な縛りはなくなる。でも、学び続ける責任はより明確になる」ということです。

ペナルティの存在は確かに重く感じるかもしれません。しかし、研修が「更新のための義務」から「専門職としての継続的な学び」に位置づけられることは、ケアマネジャーの社会的地位を高める方向性とも読めます。

制度に振り回されるのではなく、制度をうまく使いこなす側に立てるよう、一緒に準備していきましょう。

✅ この記事のまとめ 
● ケアマネの資格更新制は廃止予定(5年ごとの更新手続きがなくなる)
● 一方で、定期的な研修受講が法的義務になる予定
● 研修未受講の場合、都道府県知事から受講命令→従わなければ業務禁止(最長1年)という仕組みが検討
● 事業者にも研修機会の確保義務が課される予定
● オンライン受講・分割受講・時間短縮など負担軽減策が検討中
● 施行時期は公布後1年半以内(令和9年度ごろの見込み)

【参考・出典】

介護保険法等の一部を改正する法律案(令和8年4月3日 閣議決定):https://www.mhlw.go.jp/content/001685801.pdf

社会保障審議会介護保険部会 資料:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html

「本記事は執筆時点の法案・審議情報に基づく一般的解説であり、最終的な制度内容・運用は必ず厚生労働省・各都道府県の最新情報をご確認ください。法的な解釈は、今後示される省令や行政通知に委ねられます。個別のケースについては弁護士等の専門家に相談して下さい。」

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